「手板」はわたしにとって大切な小さな実験場です。
練り合わせた朱の色と乾き具合の確認はじめ、色々な質感を試します。
偶然性に嘉されていて、見たこともない姿を漆が見せてくれるところ。
漆自身の中から、新しい質感が、新しい作品のアイデアが生まれる。
それにしても、たくさんの小さな朱の跡を指先で撫でて愛でていると、なんでこんなに恍惚とするんだろうか。
無事個展がオープンできたので次へ進む。楽しみにしていた電気通信大学の坂本真樹教授との打ち合わせです。初めて行った電気通信大学は理系バリバリの雰囲気でキャンパス内は男性率90パーセントでしたが、坂本先生の周囲だけは一点パーっと華やかで明るい空間なのでした。
坂本先生の華麗な経歴とメディアでのご活躍ぶりに最初はちょっと臆していたのですが、オノマトペによる質感研究を理系からのアプローチで進められているとのことで、お話を伺うとどれもこれも本当に興味深かったです。それにしても心理学、AI、感性工学、認知科学など多領域を行き来されつつ進んでいかれる力強い知性に感服でした。
オノマトペ×漆で何を生み出せるでしょうか。すごくわくわくします!